皮膚には、さまざまな刺激(日光、暑さ、寒さ、ほこりや細菌など)から身体を守ったり、体温を調節したり、温冷や痛みなどを感じる感覚器となったりと、いくつもの大切な役割があります。皮膚の基本的な構造は人もわんちゃん・ねこちゃんも似ていますが、大きな違いが3つあります。
人の肌もわんちゃん。ねこちゃんの肌も「表皮」「真皮」「皮下組織」の3つの層で構成されています。
身体のいちばん表面にある表皮が外の刺激から身体を守るバリアになりますが、実はわんちゃん・ねこちゃんの表皮は人と比べるととても薄いのです。人の赤ちゃんの表皮は成人の半分くらいの厚みですが、わんちゃん・ねこちゃんはさらにそれよりも薄く、成人の1/3の薄さで0.1mm以下です。
表皮が薄いということは、それだけ刺激に弱く、デリケートだということです。
ほとんどのわんちゃん・ねこちゃんの身体は全身が毛で覆われています。ひとつの毛穴から生えている毛の数は、人では1〜数本ですがわんちゃん・ねこちゃんはたくさん生えていて、比較的長い主毛(トップコート)と、短くて細い副毛(下毛/アンダーコート)の2種類の毛があることも特徴です。
表皮が薄い分、密集した被毛が皮膚を保護し、刺激から守っています。
また、気温や日照時間の変化によって、主に春と秋に下毛が生え替わることで温度調節を行い、身体を環境に対応させています。
わんちゃん・ねこちゃんが「人のように身体に汗をかかない」ち言われるのは、皮下組織にある汗腺のタイプが異なるためです。人は「エクリン汗腺」は全身に分散していて、そこで分泌された水分量の多いサラサラの汗が汗孔という穴からでてきますが、わんちゃん・ねこちゃんでは「エクリン汗腺」は足の肉球にしかないため、人と同じような汗をかくのは肉球だけなのです。
しかし、わんちゃん・ねこちゃんの全身には、人ではワキの下・外耳道・乳輪など特定の部分だけにある「アポクリン汗腺」が分散していて、汗孔ではなく毛包につながっています。
人がかく汗とはタイプが異なりますが、わんちゃん・ねこちゃんもアポクリン汗腺から分泌されるベタベタした汗をジワジワと身体にかいているのです。
わんちゃんはもともと肌のpH(ペーハー/ピーエッチ)が6.2〜7.8と高めで、ねこちゃんは6.4程度です。これは弱アルカリ性という分類です。
人の肌は弱酸性で4.8くらいです。
酸性よりもアルカリ性の方が細菌が増殖しやすい環境であり、さらに気密性の高く空気の流れの少ない室内で暮らすようになったことで被毛の通気性も悪くなり、肌が蒸れやすくなったことで細菌感染が増えているのではないかと考えられています。
わんちゃん・ねこちゃんの皮膚疾患には、こんなにさまざまな種類があります。
ともに、アレルギー性皮膚炎やその他理由の皮膚炎、膿皮症、アトピー性皮膚炎などがあります。
さまざまな皮膚疾患がありますが、すべては
潤いがあり、pHバランスが整っていて、バリア機能がきちんと作用していれば、なりにくいのが皮膚疾患です。
日頃からきちんとケアをしていただくことで、環境や負荷に負けない、強くて健康な肌を目指しましょう!
肌が清潔に保たれていて、うるおいがある状態。
pHバランスもととのっていて、バリア機能もしっかり作用している。
乾燥や外的刺激にも負けない健康で強い肌。
空気の乾燥や湿気などの大気の変化、環境変化などが原因となり肌トラブルは起こります。トラブルの第一歩は「乾燥」です。
肌を乾燥させないことが大切です。
乾燥肌用化粧水
肌が乾燥して、水分量が少ない状態。
パサつき・カサつきがある肌。
バリア機能も低下しはじめ、乾燥や外的刺激に影響されやすい肌。
フケ
カサカサ
バリア機能が弱く、アレルギー物質が侵入してきたりして、外的刺激に負けてしまう。
pHバランスも乱れていて、敏感な状態。
かゆみ
赤み
多いフケ
乾燥
バリア機能が弱くなっているところに、細菌が付着・繁殖し、炎症を起こす。
膿皮症・アトピー性皮膚炎は黄色ブドウ球菌が繁殖して発症している場合が多く、マラセチア皮膚炎はマラセチア菌(カビ菌)が繁殖して発症する。
激しいかゆみ
赤み
多いフケ
発疹
脱毛
カサカサ
ニオイ
ベタつき
病院で獣医師の診察を受け、治療をする必要があります。